2011年02月05日

ダックスフントのワープ (藤原 伊織)

★★★★★

この本はすごくいい。
ほんとにぼくが好きなジャンルの小説。
そんなに厚くない上に、1冊に4編がつまってるからわりと短編か中編くらいに位置すると思うんだけど、表題作の「ダックスフントのワープ」はほんとにいいと思う。
ほかの3編もなかなか。

この本は、作品のすばらしさのほかにも、村上春樹みたいなテイストを出してくる人が、ほかにもいたんだなっていう意味でも、ぼくをびっくりさせた。
さらにびっくりしたのは、解説を読んだたら解説を書いてる人も村上春樹っぽいって書いてた。
同じように感じる人がいるんだなあと思ってびっくりした。
(まあ、解説書くような、著者の意図をちゃんとわかることができるような人なら、多かれ少なかれみんな同じように感じてるんだとは思うけどさ)

「ダックスフントのワープ」
村上春樹に似た作風を持ったすばらしい作品。
登場人物はすごく少なくて、シンプル。
主人公と10才の女の子のマリと、それからあとはマリの小学校の先生の3人くらい。
なんだけど、正確には、ダックスフントとアンゴラウサギってきのもかなりのウェイトを占める。
マリとの話で語られる「邪悪の意志の地獄の砂漠」のお話が秀逸。

「ネズミ焼きの贈りもの」
初めからこの結末にするっていうプロットがあって、それから枝葉をつけた感がぬぐえないけど、それでもなかなかいい。
主人公の性格がいい。

「ノエル」
「ダックスフントのワープ」で使われている言葉を借りると、教訓的で、道義的でモラリスティックな感じがちょっと過ぎる。
ほかと比べればそれほどよくない。

「ユーレイ」
この作品だけは、ほかの作品とちょっと違う気がする。
正直、何が書きたかったのか、自分にはよくわからない。
読後感がいいという意味ではいい作品なんだけど、ほかの3編のような教訓的さがない。
ときにはないほうがいいし、だからいいとか悪いとかそういうことが言いたいわけではないんだけど、とにかくちょっと毛色が違う。
結局ユーレイは、何を探していたんだろうか?
自分を殺した父親なのかな…?
その前の晩に"僕"が見た間違った夢は何を意味してたんだろうか…?

posted by lonitary at 01:02| 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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